虫歯を削った後痛みがあったのは、その時点で神経はまだ生きていたからかもしれません。
歯髄は刺激に対して反応すると、まず歯髄充血という状態になります。
刺激が無くなると自然に痛みが無くなってくる場合は、神経は病的な状態にはなっておりません。
その刺激が
歯髄にとって強すぎる場合は、充血という状態から炎症という状態に移行します。
炎症を起こしたかどうか見た目では解りません。
さらに症状が進行すると
歯髄壊死の状態になります。
ここまで来ると神経は腐ってしまった状態になります。
勿論見た目では解りませんが、
歯髄壊死によりそれが原因で
根尖部に
膿が溜まっている場合は当然腫れてきます。
逆に腫れてきて痛みがある場合は神経は死んでいると判断することに間違いはありません。
ただし、今度は
歯髄由来の痛みではなく
歯根膜と言われる、歯に掛かる圧力に対して反応する根の周囲の組織の痛みが激しくなってきます。
歯は指でたたいてみれば分かりますが、ほんのちょっとの圧力に対しても感覚を示します。
その圧力が大きくなるとつまり思いっきり叩くと当たっているという感覚から痛みという感覚に移行します。
その限界値を閾値と言いますが、
歯根膜が炎症を起こすとその閾値が極端に減少しますので、ちょっと触っただけでも限界を超えた刺激と認識し痛みを感じるようになります。
そのような時に、腫れが酷くて根の先に溜まった
膿を出すために歯に穴を開けて減圧する処置は必要ですが、削る行為もかなりきつい刺激になり痛みを感じたと思われます。
神経が死んでしまったのは残念ですが、治療の内容には問題は見られません。
膿が溜まっている場合は切れる状態の時なら切開で減圧することは重要ですが、原因となっている歯の中の組織(
歯髄)はすでに死んでいますので、この腐敗した組織をきれいにしない限り(
根管治療)治癒は見込めません。
勝手に取っているのではなく、根の中をきれいにしないと治らないから行っている医療行為です。