親知らずが寝た状態で手前の歯(
第二大臼歯)に接している場合は、
親知らずの根の付近が
下歯槽神経と重なっているケースは良く経験します。
パノラマレントゲンや標準型の
レントゲンは投影像ですので、三次元的な位置関係は正確には解りませんので、安全を期すためには
CT撮影をしたいところです。
歯は基本的に
歯冠方向に移動するようになっていますので、手前の7番と接触している部分を削ってスペースを作ってやると1〜3か月で手前に移動してきます。
親知らずと神経の位置関係ですが、
親知らずの根が神経を抱き込んでいるような場合は無理ですが、接触しているだけの場合は必要な距離の分を削ってやると、前方に移動して、神経から離れて安全に
抜歯を行うことが可能になります。
但し、
麻酔をする処置が2回必要になりますが。
可能ならば、麻痺がおこらないようにしたいものです。
神経の麻痺がおこった場合は、圧迫やわずかな損傷ならば程度により違いはありますが時間はかかりますが、徐々に回復してきます。
神経が切れてしまった場合は残念ながら治りません。
切れた神経をつなぐという処置もありますが、難しいようです。
内出血についてですが、出血量が多い手術の場合、処置後何日かして体表近くまで移動してきた場合、特に女性に多いのですが、頸部・鎖骨あたりまで紫色の変色が確認されることがあります。
下顎の手術で乳房の半分くらいまで変色が確認できた経験があります。
病態が広がっているわけではありませんので、特に心配はいりませんが、見た目が気になりますね。
親知らずの
抜歯の場合は、頬の縁あたりと頸部に少し見えてきたことはあります。
術前にあらかじめ可能性を伺っておくと変色があってもびっくりしなくて済みますね。