根管治療でのお悩みですね。
この辺りは我々歯科医師も非常に難しい判断を迫られるところです。
もともと痛くなかった歯をかけてしまったので治療のやり直しということですが、その場合もちろん根っこの治療をせずに土台を立ててかぶせなおすということはもちろん可能です。
ただその場合、もしその1年後に痛みが出たりした場合、やり直しが必要となってきます。
一度かぶせの治療を行うとたいていのところは補管といって2年間はかぶせの費用をもらわずにやり直しをしないといけないという縛りがあります。
(根っこの治療の不具合はかぶせたドクターの責任ではないのに、その責任だけは無理やり取らされるという保険のルールとなっているんです。)
またこれも学術的に、かぶせ物が合わなくなったり、仮の歯では、3か月もしないうちに根っこに詰めているシーラーは辺縁漏洩してしまうというデータもあります。
痛みのない歯をわざわざ根っこの治療をやり直すことによって、今回のように痛みが出てしまう可能性もあります。
でもそのうえで、理想的な治療を追い求めると、どうしてもやはりやり直しておいたほうがいい、という状況だったのだと思います。
うまくいけば理想的に痛みもなくしっかりと根っこの治療を行い、その責任をそのかぶせるドクターが負える、というか仕方がないと思えるという意味からも根っこの治療をしておきたいというのがドクターの気持ちです。
根っこの治療というのは非常に難しく、全然痛くなく、根っこの先のほうを触らずに細菌を残している状態だと後々痛みが出たり根尖病巣を発症したりします。
その経過は非常に長く、3年、5年、10年何も症状が出ないこともあります。
(逆に数か月でいたくなることもあります。)
しっかりと根っこの治療を根っこの先、骨のところまで行うとどうしてもそこは痛みを生じるところになります。
このちょうど一番いいところを詰めるのですが、それを手探りで行うわけですから至難の業であり、その時に痛みが出た場合にはその原因をいろいろな方面から考えないといけません。
今回痛みが出てしまったことは不幸なことですが、決して患者さんのことを適当に扱った結果ではないということだけはご理解ください。