よくあるベストな治療というご質問ですが、ベストな治療というものはありません。
それは一般論でこうしたほうがまあベターであろうということは言えるのですが、個々の条件で本当にさまざまな考え方ができるということで、ベストというのは言えないということです。
外傷によって
歯髄が出てしまったという、今回のような場合、できるなら
歯髄を残したほうがいいということは言われています。
ではできるなら、という意味ですが、ほんの少し
歯髄が出ているという状態か、それともずるっと
歯髄が体外にまで出ている状態なのか、また汚染状況がひどく残しても感染が強く疑われるのか、それとも感染はまだまだ弱そうなのか、そういったことでも大きく変わってきます。
受傷してからの時間経過によっても変わってきます。
また亀裂の方向も縦方向に伸びている場合、横方向に割れている場合、たとえ
歯髄を残したとしてもそのあとの被せなどが処置しづらい場合(
咬合状態などによって)等も関連してきます。
また
歯髄を残すことによって
麻酔が切れた後激痛が出る可能性があります。
運よく痛みが出なければもちろん残してよかったということになりますが、運悪く激痛が出てその後
歯髄をとらないといけなくなった場合、あの時すぐにとってくれていればこんな苦痛は味わなくてよかったのに、ということもあります。
さてどちらがベストでしょう?
ここまではあくまで患者さん側の受傷した歯のことで考えましたが、術者側、歯医者の側の状態にも条件が様々あります。
慣れた先生で
歯髄を残すことを優先する考えの先生と、痛みをとることを優先して
歯髄をとることを基本に考える先生(もしくは患者さん)、またそういう処置になれている、慣れていないということもありますし、時間的な制約ということも出てきます。
いっぺんに複数本の処置となると
歯髄をしっかり残して、ということは難しいかもしれません。
今後の
差し歯などについても、もっといろいろな要素が加わってきますから、どれがベターなのか実際にドクターとその状態についても相談しながら決めていかれるのがいいかと思います。