症状からすると、
スプリント(
マウスピース)治療は有効であると思います。
左右が同時に当たるように調整してゆく
スプリント治療(診断によって、上下に装着したり、下のみであったり、部分的にかみ合わせの低い部位であったり、いろいろです)であれば、昼も夜も装用して早ければ数カ月くらいで
下顎の位置が変わり始め、 症状はずいぶんと改善されると思います。でも、調整を続けてゆくと、
スプリントをはずした時、いずれは上下のかみ合う位置が以前と少し違うことになるため、その位置できちっと噛めるようにする処置が必要になってきます。
ただし、このような
スプリント治療は、
保険外になると思います。
保険での
スプリント(
マウスピース)治療は、その多くは
上顎全体に装着するもので、夜間に装用して、昼ははずして経過をみることが多いようです。顎周辺の筋肉や靭帯の緊張を和らげることに主眼があり、これにより、症状が出ていなかった頃の筋バランスに戻ることができれば、上下のかみ合う位置を変えることなく病状安定ということになります。
大切なことは、「
顎関節症」とは、症状は顎関節部に出ているかも知れませんが、それ自体が悪いのではないということです。
噛み合わせの不調が
下顎の位置をずらし、受けてである頭の骨の形を歪めていきます。骨は勝手に位置を自分で決めれませんので、それに付随する筋・靭帯のバランスが崩れてゆくということになります。女性であれば顎関節部、男性であれば腰に症状が出る傾向があるように思います。顎ズレによる筋・靭帯のアンバランスは全身に及びます。その人にとって、一番弱いところに症状が出るのです。
注:「診断」とは、病歴とあわせ、歯型による模型分析、
セファログラム(頭のレントゲン写真。側方、正面、頭頂の位置付けがある)分析、姿勢分析、顔貌分析などを通して行うものである。