5月21日に3歳のお子様の歯の色についてのご質問がありました。 この「お悩み相談」をお使いいただいてありがとうございます。 今回は、1)お母様ご本人のご質問でしょうか?、 2)それとも前回のお子様のご質問の続きでしょうか? 両方について考えられることを書いてみます。 1)大人の歯の着色について。 他の方の着色の質問にもお答えしましたが、原則として研磨剤の 入った歯磨き粉はあまり常用しない方が良いと考えます。以前かか られた歯科医師あるいは
歯科衛生士の指導は正しいと思われます が、研磨剤の入っている歯磨き粉を使わない場合はどうしても着色 がとれにくいと思います。「その後だんだん歯に着色がついてき て、歯磨き粉をつけて磨いた」とありますが、そのときに使われた 「歯磨き粉」には研磨剤が入っていたのでしょうか?あるいは入っ ていなかったのでしょうか?研磨剤の入っている歯磨き粉を使って とれなかったのであれば、これ以上その歯磨き粉を使わないでくだ さい。細菌のかたまりである、
歯垢(
プラーク)の石灰化が始まり 相当取れにくくなっていると思われます。この場合は歯科医院での プロフェッショナルケア(歯科医師や
歯科衛生士が行う方法)でな いと取れなくなっています。これ以上ご自分でなさると歯を痛める 恐れがあります。一方、研磨剤が入っていない歯磨き粉をお使いの 場合は、毎日磨いていても着色が徐々に進んできます。着色しやす い食品(カレーなど)や着色しやすい飲み物(コーヒーや紅茶な ど)を特に好まれる場合は早く着色します。これもご自分では取れ にくいのですが、歯科医院では比較的簡単にきれいにする方法があ ります。歯科医院の治療方針にもよりますが、
保険適用の方法で とってくれるところも多いと思います。(厳密には着色は病気では ないので「着色を取る」ことだけを頼めば
保険適用外になります。 しかし、歯垢がたまりその歯垢に着色があり、それにより
歯肉炎が 起こっているようでしたら治療になります。これは
保険適用になり ます)。歯科医院に行かれるのは「治療」目的ではなく、「予防」 のためにお出かけになるようにお勧めします。そうすれば痛くな く、気持ちよく健康に生活することが出来ます。 2)お子様のご相談の続きと考えた場合。 先のご質問から、この短期間に着色が進むようでしたら2つのこと が考えられます。 (1)歯の中の「
歯髄(しずいと読みます。神経や血管が入って います)」がダメージを受けていることが考えられます。歯科医院 できっちりと診察をお受けください。以前は
歯髄がダメージを受け た場合は直ちに「
抜髄(ばつずいとよみます)」をしました。これ は、歯に穴をあけて歯髄をきれいに掃除をする治療です。最近は、 経過を見て、
膿(うみ)が出てくるなど症状が進んで悪くなる場 合は穴をあけますが、症状が進む様子がない場合、約6ヶ月くらい 様子を見ます。3歳のお子様なら、場合によれば神経や血管が元気 になり、内面から赤黒くまでなった歯がだんだん色が薄くなること もあります。この場合はそのまま様子を見て大丈夫だと思います。 (どの歯もこのようにうまく治るわけではありません、場合によっ ては穴をあけて治療の必要なこともあります。歯科医師とよく相談 して経過を見るようにしてください)。 (2)いろいろしてみたが歯の黄色い色が薄くならない場合。非 常にまれですが、お子様の歯胚(しはいと読みます。歯のできかけ の一番最初です)の時に特定のお薬(抗生物質)を使った場合があ ります。そのお薬が歯胚に沈着して色が消えなくなります。最近で はそのようなことがわかっているので滅多にそのお薬をそのような 時期に使うことはないと考えます。しかし、全くない訳ではないの で、これも歯科医師が診ればたいてい分かると思います。ご相談く ださい。 いずれの場合でも、早く歯の色がきれいになり、気持ちよく過ごせ るようになればいいですね。