ちゃるぱぱ 様
お子様の前歯の色が変わってきたとのこと。ご心配だと思います。
お口の状態を見せてもらっていないのではっきりしたことはわかりませんが、以前は「外傷(打身)で歯の色が黒くなった場合はすぐに歯に穴をあけ神経(と血管)を治療する」というのが普通の治療でした。
最近、歯科医師の長年の研究で「小児の外傷歯の変色は慌てないで様子を見ていこう」という考えが出てきました。
歯の色が黒くなってきたのは多分歯を打撲した時にその歯が強く揺れて
根尖部(根の先、一番深いところ)が大きく振れた時に神経と血管がその部分で切れたために、血液が
歯髄腔(神経、血管の入っているところ)の中に漏れ出て、
象牙細管(
象牙質の中にとても細い管が多数あります)の中に入り、血液の中のヘモグロビンが酸素と結合して黒くなったものと思われます。
以前は、そのような状態になると神経、血管が死んでしまうために早く悪い部分を取って綺麗にしておくことが必要との考えがありました。
最近は、色の変わった歯でも、半年ほど様子を見ていくと、若い(特に子供)患者さんでは多分
歯髄腔内の血管が再生され、自分自身で黒くなったヘモグロビンを徐々に掃除をしていくのではないかとの考えがあります。
その場合は急いで
歯髄腔内を掃除しない方が良いのではないかと考えます。
ということで、様子を見ましょうと言われた先生は後者の考えで「様子を見ましょう」と言ってくれたものと考えます。
もう一人の先生は「
永久歯に影響が出ないように早く掃除をしましょう」と言ってくれたようです。
歯髄腔内の神経、血管が死んでしまうだけでなく、細菌がその中に入っているために
化膿している場合があります。
この場合は、血管の再生は考えにくくなるので早く治療をした方が良いのかもしれません。
できれば最初「この歯はこのままで経過を見ましょう」と言ってくれた先生に、
化膿している様子がないかどうかをもう一度よく見てもらい、もし
化膿していないようなら、経過を見るのも一つの方法かもしれません。
経過を見ている中で場合によってはどこかで細菌感染が起こった場合は、その時点で神経を取って治療をすることになるかもしれません。
「
乳歯の神経を取って治療したから大変だ」ということもありませんが、もし、経過を見られるようなら、そのようにして神経を残して経過観察をしてもらってはいかがでしょうか。
早く安心できる状態になればいいですね。そのように願っています。