歯の根の周囲、根の骨の間には
歯根膜と呼ばれるクッションの役目をする組織があります。
歯に掛かる圧力がダイレクトに骨に伝わるのを防いでいる組織ですが、歯にどのくらいの圧力が掛かったかを感知する重要な感圧装置でもあります。
単純にお話しすると、ものを噛んだ時、硬いもの、軟らかいものを瞬時に判断し、脳にその情報を伝え、脳から咬む力の強弱の指令が出されるという仕組みになっています。
個々の歯にはその能力に差がありますがその限界値以上の力が掛かると、咬めないと判断しますが、それ以上の力が加わると痛みとして認識するようになります。
神経を取ったりした時はこの限界値が一時的に極端に落ちますので、ちょっとした刺激が限界を超えたものと判断しご本人は痛みとして感じます。
運動や事故などで歯を強くぶつけ、かなり痛みを感じるほどの刺激を受けた後は、暫くちょっとした
噛み合わせでも痛みを感じることがあるかもしれません。
これは
歯根膜が受けたダメージが残っているために起こる後遺症です。
歯を削ってつーんとした痛みを感じたり熱いもの・冷たいものに反応するのは、生きている歯髄組織の反応です。
しかし、神経を取った後の咬んだりぶつかったりした時の痛みは、この
歯根膜の痛みです。
神経を取るとまったく痛みを感じなくなると思われている方が多いのですが、治療直後にはむしろ咬む力が落ちますので咬むと痛むという症状は強くなります。
奥歯などは、神経を取った後被せる処置が予想される場合は、噛み合わないように削合し、安静にできれば症状が出にくいのですが、前歯はあまり削ると見た目が悪くなる場合もあり安静が保てない時は痛みが強く出るかもしれません。
この痛みは徐々に落ち着いてくるはずです。