難治性の
感染根管のようですね。
虫歯が進行し歯髄組織まで到達すると、歯髄組織が炎症を起こし
歯髄炎となり温熱刺激に激しく反応し、
自発痛も出て歯髄組織を除去しなければ痛みを取り除くことはできません。
この処置が神経を取るという行為になります。
しかしながら、歯の中の構造はとても複雑で、前歯は1本の根、上顎の
小臼歯は1〜2本の根、下顎
小臼歯は1本の根、
大臼歯は1〜4本、稀に5本の根と解剖学的には本数が見て取れますが、実際の歯の中では、川の流れのように、1本の本流から、細い支流が分かれていることも稀ではありません。
根の治療をする時に、針というか錐というか細い道具を使って根の中をグリグリされたことは記憶にあると思います。
あれは、細い神経の通っている
根管と呼ばれる根の空洞を、根の治療用に用意されている材料を根の先まで詰め込むために少しずつ拡大するために用意された器具です。
拡大と同時に、根管壁に張り付いて取り残された歯髄組織を機械的に清掃する意味もあります。
残念ながらこの器具は
歯髄腔と呼ばれる
歯冠にある歯髄組織の大きな部屋の中に観察される入り口がはっきりしているメインの根にしか入れることができません。
根の途中から分岐している側枝と言われる細かい歯髄組織(神経)がある時は手を付けることができません。
感染した組織は時間と共に腐敗してきます。
腐敗した組織が根の開口部に存在していれば、時間と共に根尖歯周組織が感染し
膿が形成されることになります。
急激に
膿が形成される時は、内部の圧力が高まり痛みが伴うことになります。
これを急性化と呼び
切開して減圧を図る必要に迫られます。
その時は
麻酔をすることもあるでしょう。
しかし、これは対症療法でしかありません。
原因が
根管開口部付近の感染ですので、その部分の除去が行われない限り再発の可能性はあります。
再度の
根管治療で、感染部分が機械的に除去でき薬剤により殺菌も上手くできれば再発は免れますが、条件の悪い所(支流の出口など)で感染していれば
根管治療のみでは改善しない場合もあります。