(1)
矯正では歯に力を加えていくことで、骨の吸収と添加を起こし、歯を動かしていくのだとしったのですが、この仕組みは、骨の骨折が治癒していくときのプロセスと同じなのでしょうか?
→
矯正治療は骨折を起こさせることではないので、
治癒の仕組み的には違うと思います。ただ、治療方法でコルチコトミーといいまして、表面の方骨に刻みをいれて歯を早く動かす方法があります。
(2)骨折の場合、
治癒後には元の骨より太くなりますが、
矯正でも同じようなことが起こるのでしょうか?
→基本的にはありませんが、弱い持続的な力を加えて歯を動かした場合、特に前の歯の表側の皮質骨という部分が吸収せず、そのまま残存して残り結果とし太い状態になる場合はあると報告はされています(確か東北大学歯学部矯正歯科の山本先生が言っておられたのは聞いたことがあります)。
(3)それとも、骨折のように劇的な損傷はないので、骨の過剰形成はおこりませんか?
→私は聞いたことがありませんが。もしかするとそのような報告があるのかもしれません。そのようなことができるのであればぜひ使いたい場面があります。
(4)骨折については、『骨性の仮骨は、はじめ必要以上に過剰形成されるが、吸収と添加によりほぼ元に戻る』と書いてあるのをどこかで見つけたのですが、仮骨は
矯正でもつくられるのですか?
→吸収添加の過程で、あり得るとは思います。
(5)でも、
矯正では、吸収と添加だけがおこっているんですよね?
→骨に関しては概ねそうだと思います。
(6)もし、
矯正によって骨の過剰形成がおこるとしたら顎は長くなるのですか?
→私の経験からそのようになることは無いとは思います。ただ成長が残っているとすれば、顎が大きくなることはあり得ます。特に反対咬合の場合、20歳を過ぎても顎が成長するといった報告もなされています。
(7)また、長くならないようにすることはできませんか?
→
矯正で顎が大きくなるかどうかは分かりませんが、成長に関して言えば、現段階で成長を抑制することは不可能だと思います。
さまざまな装置で抑制しても、その反動がどこかでスパートするといわれています。
(8)急激に動かすより緩やかに動かしたほうが、骨の過剰形成が起こりにくい、などということは考えられないでしょうか?
→それは無いと考えます(あくまで私が思うにですが)。矯正力ですが、急激な力を加えても、吸収を起こすまでは時間がかかります。その場合、血管などの損傷を伴い逆に治癒が遅れることで歯の動きが遅くなります。ですので血管などの損傷を起こさない適度な力を使用したほうが吸収添加も速くなりますし、結果として歯の動きもも速くなります。
お答えになっているかどうかはわかりませんが。