あや 様
ご質問は以下のような点でしょうか?
1.治療時に詰めたものが何回も取れてしまう。
2.光で照射して治療した後は取れない。最初からこれをしてくれていれば治療費がかからなかったのではないか?
3.「上の前の歯が黒くなってきているので治したい」と言ったが「まだ良いんじゃないの?」と言って取り合ってくれない。早く治した方が痛みも少ないのではないか?
4.
虫歯も薬を入れて治しているが、とても痛くて行くのが憂鬱になっている。
5.治療途中で医師を変えてもちゃんと見てもらえるのかどうか?
6.ただ、今の歯科医師は治療の説明などはていねいにしてくれる。
文面からは以上の問題点が指摘されています。
この文面から感じられる歯科医師像は、あやさんあなたのお気持ちに反して、まじめな歯科医師ではないかと思われます。もちろんもっと詳しくお聞きすると違う点が見られるかもしれませんが、患者さんのお気持ちと私たちの受け止め方はだいぶん違うように思います。それを元にお答えをしていきます。
お答え。
1.はじめから深く削り、
詰め物をすると外れにくいのは当然です。しかし、悪いところだけを削りその様子を見ながら、経過がよい場合はそれで
詰め物をするというのはとても面倒な作業です。しかし、歯を大事にする歯科医師はそのような方法をとる場合があります。患者さんからすると「治療した
詰め物が1週間ぐらいで外れるのは治療の仕方が悪いのではないか?」と思われるのは当然ですが「深く削らないで、悪いところだけを削り、できるだけ歯を大切にしたい」という場合は あやさんが経験したようなことは起こりがちです。ただ、後で出てくるように「治療の説明がていねい」なら、その程度の説明をどうしてしなかったかは疑問です。
2.経過がよい場合は、現在「
コンポジットレジン」という複合材料で、悪い歯質の切削量が最小になるように削り、その穴に詰めるととても経過の良い材料があります。そのような治療をしてもらったのではないでしょうか?その間に1週間ごとに何度か外れたのを埋めた治療費が無駄になったように感じておられますが、これは決して無駄ではなく、後々掘り返す必要があったり、せっかく治療したものをやり直す方がもっと時間と費用がかかります。私から見ると理にかなった治療法です。ましてや治療をしながら2,3回の治療費をもらわ無かったのはボランティアの治療で、親切としか言いようがありません。ただ、どうしてその説明を歯科医師をしなかったのでしょうか?
3.私が歯科大学で習った時代は「
う蝕(
虫歯)は見つけ次第早く削って、詰めて治す」というのが鉄則でした。その後、現在では、軽度の
う蝕は削らずに
フッ素を使って、唾液中のカルシュウムを歯の方に戻るようにという「
再石灰化」を考えるようになってきています。私もできるだけ削らずにご本人の歯ブラシや
フッ素を使った洗口などで
再石灰化を考えます。
4.行くのが憂鬱になっているくらい痛いのでしたら、その状態を先生にお話しになればいかがでしょうか。今までは神経の中に細菌が入ると即
抜髄(神経を抜く)と考えましたが、今は
抗生物質を組み合わせて、できるだけ神経を保護して延命を図る方法も考えられてきています。このような場合は、一時的に痛いのを我慢しなければならないことがあります。痛いのは大変でしょうが、憂鬱にならずに行かれて先生にどのようなときに、どの程度の痛みがどのくらいの時間続くかということをお話しになってみてください。
5.治療中の歯であっても歯科医を変えても次の歯科医師は気持ちよく診てくれると思います(見てくれないようなら次の歯科医院へ行かれるといいです)。
6.治療の説明をよくしてくれる歯科医師なのに、あなたが感じておられることに一つも的確な説明や回答をしていないことがとても不思議です。あなたの訴えが先生に届いていないか、先生の答えや思いがあなたに届いていないかのどちらかだと思います。もう一度問題点をご自分で確認をして、先生に話をしてみてください。歯科医院を変えるのはその答えをよく聞いてからで遅くないと思います。
今の痛みが早く取れるように願っています。