シリア 様
右上6番を抜歯されたとのこと。残念でしたね。6番(第1
大臼歯)は6歳
臼歯ともいわれ、永久歯の中で一番早く生えてくる
臼歯です。それだけに口の中で基準になる歯でもあり、咀嚼力(噛む力)の大きな部分を負担する歯でもあります。すでに抜かなければならなかった歯は仕方がないものの、これ以降はご自分の歯で一生噛めるように努力してください。
さて、ご質問は以下の4点だと思います。
1.右上6番を
抜歯した後
インプラントにするか5,6,7番の
ブリッジにするか。
インプラントにする場合は、
GBRと
サイナスリフトを行う必要がある。
2.
インプラントをする場合、
サイナスリフトは高度な技術が必要。今通っている先生の
インプラント成功率や治療後の予後が不明で不安。
3.治療費について、
インプラントの場合は50万円程度、
ブリッジは
ハイブリッドセラミックで3本24万円。
4.
抜歯後は良好。通院中にいやな思いをしたこともない。しかし通院期間も短く、先生との信頼関係も浅いので不安。
以上でしょうか。
お答え。
1.
インプラントも
ブリッジも、いずれも現在の歯科では確立した方法で、どちらを選ばれても良いかと思います。
インプラントの場合は、両隣在歯(5番と7番のことです)を削らないので痛める可能性が少ないので、両隣在歯のためにはとても良いと考えられます。
ブリッジの場合は、技術が開発されてからの期間がとても長いので、材料や技術が非常に熟成され安定しています。それに、
インプラントの場合は、
上顎洞をさわって骨を増やしたり、骨の中に異物を入れるといったことをするために外科処置に熟練されている先生にお受けになることが大切と思います。
ブリッジや
インプラントはいずれを選択しても、今まで以上に
プラークコントロール(歯磨きを中心としたセルフケアと歯科医師、
歯科衛生士によるプロフェッショナルケアを受けきっちりとした
口腔管理をすること)がとても大切です。1ヶ月半通われている間にそのようなことが説明され、ご自分のセルフケアもきっちりとできるようになったのでしょうか?それをきっちりと教えてくれた歯科医院なら、信頼して通われてはいかがでしょうか。(それさえもできないような歯科医院であればどちらの方法もそこで受けることをおすすめしません)。
また、もう一つ方法があることを覚えておいてください。まだお若いので、
義歯(いれば)には抵抗があるかと思いますが、最近の
義歯は精密鋳造の技術が進歩し、とても正確にできるようになりました。この方法の場合は、
1)両隣在歯を削らないでもできる。
2)骨をさわるような外科処置が不要。という利点があります。食事後外して洗わなくてはならないという不便や、
インプラントや
ブリッジに比べて少し大きいので最初は違和感が多少あること。などが短所となります。しかし、自費で作る義歯はほとんど
ブリッジと変わらないぐらいの感覚で使えるような時代になりました。費用も
ハイブリッドセラミックの
ブリッジとあまり変わらないぐらいの費用かと思います。このような方法があることもご記憶ください。
2.
インプラントを考える場合は、今お通いの先生に「
インプラントの成功率や今まで行われた症例(きっちりした先生なら、必ずお持ちです)を見せてください」と聞かれ、予後についてもよく説明してもらうと良いと思います。
インプラントの症例をたくさんお持ちの歯科医師を探し、
セカンドオピニオンとして意見を聞くのも良いと思います。
3.自費の価格はまちまちですが、現在の歯科の価格としてはそのぐらいではないでしょうか。
4.通院に便利ならば、そのような先生に受診なさるのがよいと思います。これから
口腔内清掃について歯科衛生士の説明もよく受けられ、その間に院内の様子をもう少し観察されるのも良いかもしれません。院内の雰囲気も良いようなら、信頼してお任せするのがよいですよ。
歯を一本無くすということは大変なことです。これからは「絶対に歯を無くさない」という決意で、また、そのような考えを持った歯科医師や
歯科衛生士と出会われ、健康な生活をお送りください。高齢社会になり、金銭欲や権力欲など欲望のすべてが無くなったときに残るのは食欲です。このときに満足に噛めないということは、老後の希望が何もないということになりかねません。「一生ご自分の歯で物を噛むということが何よりも大切なことである」ということをもう一度ご確認ください。