お子様の口臭についてのお母様からのご相談ですね。ご本人が自分で感じて悩 みをお母様におっしゃった場合は「自臭症」といって別の要素が入ってきます。 お母様がお子様の口臭を感じられてのご相談だと思います。 これは 「他臭症」といって、患者さんのそばにいる方が感じられるものです。 学校検診で「う蝕(
虫歯)」がなかったとのこと。 最近は学校からはう蝕だけでなく「
歯肉炎」や「
噛み合わせ」についての各家 庭への報告があると思いますので、それがなかったということで考えます。 口臭はとても難しい一面があります。 たとえば、大分前の話ですが、欧米人が日本の朝の通勤電車に乗ると、「みそ 汁の匂いが鼻についてとても気分が悪い」というのがありました。 私たちは欧米へ行き大勢の中に入ると「チーズ」の匂いに悩まされることがあ ります。このように食生活の中で一人では問題にならない匂いが大勢の生活習 慣の中で、一人だけ食習慣の違う人が入ると問題になる場合もあります。 さて、ご子息の口臭ですが、「
虫歯がない」ということですが、歯科医院での 歯の
メインテナンスを受けておられるのでしょうか? 歯科医院へは「治療」のために行かれると、時間がかかり、嫌な思いをし、高 い費用を負担することになります。 ぜひ、予防や
メインテナンスのために歯科医院に通われるよう習慣づけてくだ さい。そうすれば、う蝕(
虫歯)がなくても問題があるのかないのかがよく分 かります。学校から
歯肉炎の指摘もないとすると
歯肉の炎症がないと考えられ ますが、12歳くらいでしたら、炎症まで行かないまでも
歯垢(
プラーク)が たまっていることがあります。 この場合は口臭がでる場合があります。 ぜひ早く歯科医院でお口の検査をしてきれいにしてもらってください。 以前は「20歳を過ぎるまでは
歯周病は見られない」と歯科大学で教えたので すが、最近は食生活が変わり、中学校で検診をしてもずいぶん
歯肉炎を見るよ うになってきました。お子様は12歳とのこと。 小学校の高学年か中学校の生徒さんだと思います。 お母様は、食事の内容を良く吟味してあげてください。 メールでご子息のことについて相談いただける方ですから、きっとお子様のこ とについては十分な配慮をなさっていると思いますが、日本全体で食習慣がか わりました。まず、お米の消費量が少なくなっています。 最近は圧力釜や炊飯器の優れたものが多く売り出されています。 ぜひ玄米食を工夫して(毎日でなくとも、週に1、2度でもいいかと思います) 炊いてあげてください。玄米をよく噛むととても甘くておいしいものです。 それに栄養価も高く優れた食品です。 また、値段の安い旬の野菜をたっぷりと食べさせてあげてください。 値段の安い野菜とは、口当たりが「ごわごわ」して、あまり好まれないから安 いのです。しかし、ごわごわしている野菜とは、植物繊維が豊富で、この繊維 がお口の自浄作用にも大変よいもので、また、ごわごわした野菜をよく噛んで 食べると、唾液がよく出て洗い流し効果も期待できます。 すると
歯垢の蓄積も少なくなる可能性があります。 旬の食材は「味がよく」「栄養価が高く」「豊富で」「安い」というまさに4 拍子そろったものです。 できれば減農薬や無農薬の玄米や野菜が手に入れば理想です。 それと「おいしい味」には2種類あります。一つは日本の「だしの味」これは 身体を作るタンパク質の元になる「アミノ酸」の味です。 昆布、カツ節、だしじゃこ、など日本食のうまみの神髄です。この味を子供さ んに教えてあげてください。それにみそ汁もとてもよいものです。 朝学校に行く前に食べさせてあげてください。 もう一つのおいしい味は「あぶら」の味です。 肉を買うとついてくる「ラード」霜降り肉の霜に相当する脂の味がこれです。 この味は強烈なので、これを先の覚えてしまうと、先の日本の高級な「アミノ 酸」の味が物足りなくなります。肉の脂の味はいつでも覚えられますから、で きるだけ早く「日本古来の上品な味=アミノ酸」の味を身体に覚えさせてあげ てください。 そして、温泉旅館などの朝食には魚の干物(あじの開きなど)がでます。 これは頭から骨まで全部食べられるものです(最近頭や骨を食べない人が増え ましたが)。 これもよく噛むことにより唾液をだしたり、脳に刺激を与えたり、最近とても 注目されています。ちなみに学校で統計を取ると、朝食を家庭でしっかり食べ て歯磨きをしてから学校に来る生徒は、朝食をとらない生徒より成績が良いと いう証明がなされています。 話はそれましたが、口の中の細菌の量を最少にすることは口臭を防ぐのにとて も効果があります。
ブラッシングや食事の改良によりお口の中が清潔に保たれ るようにしてあげてください。 その他には、便秘などしていませんか?以前は「胃が悪いと口臭がある」と言 われましたが、胃の匂いが逆流することはありません。便秘などしている場合 はその匂いが肺を通して口からでることが考えられます。 身体を良く動かして(歩いたりスロージョッギングなどが効果があります)みて ください。机に座る時間が長く、動く時間が少ないと便がでにくくなります。 後は少年期には汗をよくかくと思います。シャワーをしたり、身体を良く拭 き、汗の匂いが残らないようにしてあげてください。 それと、匂いの強い食事をされた場合は、歯ブラシだけでなく、糸ようじや
歯間ブラシ(これらは歯科医院へ行けば使い方も教えてくれます)などを使っ て、歯の間などの細かいところに残っている食滓(たべかす)も完全に洗い流 すようにしましょう。 口臭外来という表示のある大学病院や診療室もあります。 あるいは「本田式口臭治療」という方法もあり、これらのところでは、感応試 験と言って実際の口の匂いを先生が評価してくれたり、機械を使って数値やグ ラフで調べてくれます。一度お訪ねになられたらいかがでしょうか? お子様はこれから思春期に入り、気にする年齢になってくると思います。 思いっきり生活できるように早く解決をしてあげてください。 解決されてうれしい知らせを聞かせていただけるよう願っています。