歯髄温存療法についてですね。
> (1)仮にリエントリーしないこととした場合、いつかは水酸化カルシウムの効力がなくなり、
虫歯の進行が復活して結局神経に到達するのではないか。
水酸化カルシウムは強アルカリ性であり細菌を死滅させる効果があるため用いられます。
封鎖空間で水酸化カルシウムを使うことによりその部分のむし歯菌は死にますから、むし歯の進行が復活することはありません。
ただ辺縁漏洩など、むし歯菌の入り込めるスペースが新たにできた場合、むし歯が進行していきます。
> (2)露髄覚悟でリエントリーし、露髄してしまったら
MTAセメントで直接覆髄したほうが
虫歯を取り切れるため予後は良いのか。
MTAセメントだとむし歯を取り切れるか問うことではありません。
MTAセメントも強アルカリ性という点では効果は同じです。
ただその二つが違うのは水酸化カルシウムがずっとペースト状であるため歯質への接着性が全くないこと、
MTAセメントは硬化するとかなりな強度になることなどから、優れていると言われています。
強アルカリ性を置くことによって
二次象牙質の作成を誘導するという効果が両方ともにあるので、痛みなどがない場合には長い期間3か月よりももう少し置いて
二次象牙質ができるのを待ってから処置を行うほうが露髄のリスクは低くなります。
実際のところは歯にどのくらいの力が加わり、歯がどの程度たわみ、辺縁漏洩などのリスクがどの程度で、実際の症状などがどういう状況なのかなど、様々なことを勘案してどのような処置、材料が良いのかを経験をもとに決めていくという作業が歯科医師の仕事です。
(歯はかたいですが、それがゴムのようなもので力が加わるとたわむと考えてみてください。実際には本当に微妙ですがたわみます。)
> 実際の現場ではリエントリーをしないという形をとることはあるのでしょうか。
たまたま放置して数年たつという常な状況は多々あると思います。
その場合痛みが出てやはり神経をとることになった、ということもあれば、その逆に
二次象牙質ができてそのままでもよくない?っていう状態になっていることもあります。
その確率はといわれてもそれはわかりません。
(一体それが何年先の話なのか、1年2年3年、5年10年、、、それぞれで考え方も変わってくることがお分かりいただけると思います。)