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2020/03/19

水酸化カルシウムを使った虫歯治療について教えてください。

おおい様33歳女性
虫歯治療を行っているのですが、虫歯が深く、このまま取ろうとすると神経が露出する確率があるとのことで、神経に近い虫歯を残したまま水酸化カルシウムをつけ、仮の蓋をつけてもらい、1週間後に自発痛が出ていないために、水酸化カルシウムの上にセメント、そしてレジンで封鎖して頂きました。

一般的に3か月以上おいてから再び開けて虫歯を削るという処置をとるが、痛みや違和感がないのならリエントリーを行わないことも出来ると説明があり、どちらにするか迷っています。
仮に距離を見誤ったり、わずかな距離しかなくて露髄したら、神経の治療になる可能性が高いとのことでした。
治療の前も今も自発痛はなく、冷たいものだと前は少ししみたけど今はだいぶしみなくなりました。

(1)仮にリエントリーしないこととした場合、いつかは水酸化カルシウムの効力がなくなり、虫歯の進行が復活して結局神経に到達するのではないか。
(2)露髄覚悟でリエントリーし、露髄してしまったらMTAセメントで直接覆髄したほうが虫歯を取り切れるため予後は良いのか。

以上のような点が気になっています。
調べてみてもリエントリーをしない治療法についての情報がないので気になっています。
実際の現場ではリエントリーをしないという形をとることはあるのでしょうか。

河原 雅朗 先生からの回答

河原 雅朗
奈良県
かわはら歯科クリニック
河原 雅朗先生
歯髄温存療法についてですね。

> (1)仮にリエントリーしないこととした場合、いつかは水酸化カルシウムの効力がなくなり、虫歯の進行が復活して結局神経に到達するのではないか。

水酸化カルシウムは強アルカリ性であり細菌を死滅させる効果があるため用いられます。
封鎖空間で水酸化カルシウムを使うことによりその部分のむし歯菌は死にますから、むし歯の進行が復活することはありません。
ただ辺縁漏洩など、むし歯菌の入り込めるスペースが新たにできた場合、むし歯が進行していきます。


> (2)露髄覚悟でリエントリーし、露髄してしまったらMTAセメントで直接覆髄したほうが虫歯を取り切れるため予後は良いのか。

MTAセメントだとむし歯を取り切れるか問うことではありません。
MTAセメントも強アルカリ性という点では効果は同じです。
ただその二つが違うのは水酸化カルシウムがずっとペースト状であるため歯質への接着性が全くないこと、MTAセメントは硬化するとかなりな強度になることなどから、優れていると言われています。

強アルカリ性を置くことによって二次象牙質の作成を誘導するという効果が両方ともにあるので、痛みなどがない場合には長い期間3か月よりももう少し置いて二次象牙質ができるのを待ってから処置を行うほうが露髄のリスクは低くなります。
実際のところは歯にどのくらいの力が加わり、歯がどの程度たわみ、辺縁漏洩などのリスクがどの程度で、実際の症状などがどういう状況なのかなど、様々なことを勘案してどのような処置、材料が良いのかを経験をもとに決めていくという作業が歯科医師の仕事です。
(歯はかたいですが、それがゴムのようなもので力が加わるとたわむと考えてみてください。実際には本当に微妙ですがたわみます。)


> 実際の現場ではリエントリーをしないという形をとることはあるのでしょうか。

たまたま放置して数年たつという常な状況は多々あると思います。
その場合痛みが出てやはり神経をとることになった、ということもあれば、その逆に二次象牙質ができてそのままでもよくない?っていう状態になっていることもあります。
その確率はといわれてもそれはわかりません。
(一体それが何年先の話なのか、1年2年3年、5年10年、、、それぞれで考え方も変わってくることがお分かりいただけると思います。)

渡辺 英弥 先生からの回答

渡辺 英弥
福島県
渡辺歯科医院
渡辺 英弥先生
> (1)仮にリエントリーしないこととした場合、いつかは水酸化カルシウムの効力がなくなり、虫歯の進行が復活して結局神経に到達するのではないか。

その場合、二次象牙質ができ床下の厚みが出ると思います。


> (2)露髄覚悟でリエントリーし、露髄してしまったらMTAセメントで直接覆髄したほうが虫歯を取り切れるため予後は良いのか。

MTAセメントでも水酸化カルシウムどちらでも問題ないと思います。

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