出産・授乳期間をご経験であればお解りかと思いますが、妊娠中は母体の免疫力はかなり低下します。したがってその期間内には感染症にかかるリスクが高くなる為、妊娠するまでに治療できる疾患については通院・治療を受けておくほうがよいとされています。これは歯に限ったことではありません。ただ、一
般的には歯の治療がクローズアップされます。
お話からしますと、立派な被せの治療を終えたにもかかわらず、根の病気が再発している可能性があるとのことですが、結論から言えば、やり直しするべきだと思います。今の時期ならば薬を使って一時的に寛解させる方法もありますが、妊娠中に再発する可能性が高くその際には、十分な治療ができないため
に、菌が胎児の成長に悪影響を及ぼすことも無きにしも非ずです。アトピー症状を活きする可能性もあります。
本来歯の治療で被せをする、
補綴物を装着するのは、最後の段階の処置であるとされています。それまでに、根の病気、
歯周病の治療などを十分に行い、その上で
咀嚼機能・審美性の回復をはかるのが理想です。しかし、現実問題としてそこまで時間をかけて治療することに患者様が納得されるかどうか、辛抱強く治療に通われるかなど様々な事情を考慮して治療内容・期間が決められます。歯科医師にはそうした話し合いを十分にする必要があると近年では言われています。
今回の歯科治療は、根の治療とその次の治療を担当した先生が違うため、元々の歯の病状が十分に把握できていたかは難しいところです。
レントゲン上では判断できない病状もありますので、ご本人への問診、患歯への検査で特に症状がなければ、被せの治療に踏み切ることもあります。
実は、
保険で大きな被せを作った場合、2年間はその作った歯科医師が責任を持ちなさい、その間の作り直しには国の
保険は使ってはいけませんというルールがあります。このルールを
自費で作った歯にも適応している先生もいらっしゃいます。つまり、
自費で作った歯が2年以内に維持できなかった場合は、責任を持って作り直すという解釈です。今回の先生がそのルールを自分に課しているかどうかはわかりませんが、一度はっきりとお聞きになったほうがよいと思います。やり直しの際にもう一度全額必要かどうかを。(その先生への不信感があって他の歯科医院を受診された場合は、きっと全額の負担になります。)
私事ですが、他院で10年以上前に前歯2本を
自費で作ったにもかかわらず、装着直後から
歯肉が腫れ気味で手で触れると痛くてずっと悩んでいたと言う患者さんがお越しになり、相談の結果その
自費の歯を撤去し、根の再治療を半年間かけてしました。その間前歯は
仮歯を装着し、何度も調整しなおしご本人の違和感がなくなるまで辛抱強く通院していただきました。
なんども根の治療をすることはよくないとの先生のご指摘は僕も同意見ですが、痛くなるまで放って置くというのは、意見が分かれます。
どのくらい再治療にかかるかは、お答えできませんが早めに治療されたほうが回復も早いと思います。
他の回答医の先生の意見とも総合して判断してください。