ミッコ 様
文面からは、ずいぶんきれいな治療をしてもらっている様子がうかがえ ます。私たちが治療をして感じるのは「生まれながらの人間の身体はい かにすばらしい材料が適材適所で使われ、作られているか」ということです。 ご相談いただいて残念に思うのは「悪くなった歯をどのようによくするか?」というご相談が多いことです。 あなたも歯を悪くして困られたので、これからは、まわりの人、特に 若い人たちに「歯を悪くしないように予防をきっちりする」ということ を教えてあげてください。
さて、ご相談内容ですが、人間が作る材料で完全なものはありません。たとえば
ポーセレン(
メタルボンドの表面の白い陶材)は減りませんが、逆に
対合歯(噛む相手の歯)を減らす恐れがあります。
ハイブリッドセラミックはそれ自体も減っていくと考えられます(材料により 時間の長い短いはあります)。 それぞれの材料の長短は歯科医からよくきいておられるようなので、その中でご自分がお決めになるのがよいと思います。いずれにしても完全な材料はないので、やり換えは必要とお考えいただ くのがよいと思います。
しかし、先日こられた患者さんは、40数年前、娘時代にその当時住んでいたところで「前歯を治療してもらった」とのことでした。現在では古い治療法ですが、その当時は最先端の方法で、今もすばらし い状態で使っておられました。このように、人間の作った材料でも、 よく考えて、きっちりと治療すると決してすぐに悪くなるわけではあり ません。 また、現在の新しい方法が一番良いわけでもありません。 患者さんからは割り切れない思いもあると思いますが、その時々の学問、 技術で「もっとも良い」と思う方法を歯科医師は説明して治療します。 数十年たった後、それが本当にすばらしかったかどうかの判断がされます。 その点をぜひ納得なさってください。かえって判断の迷う答えになりましたが、たとえば、1週間のうち数回 乗る、1千万円する自動車でも耐用年数はあります。 その間に部品の交換や
メインテナンスは必要です。毎日3度3度何百回も 噛む口の健康を維持するのは簡単ではありません。
しかし、食材や調理方法をよく考えることで、ずいぶん健康な状態で噛めるものです。「いちどの治療で一生使える歯」を考えるのではなく「今一番良いと考えられる方法」を選び、食事方法を吟味し、ご自分のな さるセルフケア(ホームケアともいいます。歯磨きなど)をなさり、 歯科医師や
歯科衛生士のプロフェッショナルケアをきっちりと受けら れるとずいぶん歯は長持ちします。 お元気で楽しい生活をされるよう願っています。