第13回講座 矯正 2

1.矯正治療の始める時期

症例は、60歳前に矯正を始めたケースで、過蓋咬合(かがいこうごう)と顎の位置のずれがあり、体調が悪かった例です。2年ほどかけてずいぶんそろってきました。体調もすっかり良くなり元気に通ってくれています。

過蓋咬合の症例

矯正治療が必要と思われる人は、できるだけ早く歯科医師にご相談ください。

顎骨(顎の骨)ができる間にアーチを大きくできれば、歯を抜かないでできる場合もあります。

過蓋咬合の矯正後

しかし、最近では、年齢に関係なく歯を動かすことができます。

以前は「高校生ぐらいまでに矯正をしておくように」と言われましたが、60歳前後(あるいはそれ以上でも)矯正をするケースがあります。

2.矯正治療の流れ

1)はじめに

先ずは、歯科医院で矯正についての希望を伝え、う蝕虫歯)など必要な治療や予防をきっちりと行います。

2)検査

歯の型を取り顎の大きさと歯の大きさを計測します。

レントゲンで骨格を調べます。 検査費用が必要です。

3)診断・治療計画

検査結果から、診断をし、治療計画が出ます。 費用も概算が出ます。 ここで実際にするかどうか決めます。 診断、相談料が必要です。

4)矯正開始

義歯のように取り外し、できる装置にバネをつけて口の中に入れます。取り外しができるので大人が仕事をしながらでも矯正できます。

ワイヤーを使った矯正ブラケットという小さなものを全部の歯に貼り、ワイヤーを通して、ゴムで固定します。

5)調整

1ヶ月に約1回調整をします。バネやワイヤーの調整。 ゴムの取り替えをします。 1年半から2年かかります。

6)終了

審美的、機能的に満足のできる結果が得られれば、終了です。 装置をはずします。 実はこれで終わりでありません。

7)保定(ほてい)

ここからがとても大切で、後戻りしないように夜寝るときに、装置をはめます。 これをきっちりはめなかったために後戻りして、 もう一度、矯正をする人もいます。

3.矯正治療の費用

  1. 矯正費用はケースにより、また、使用する装置などにより、ずいぶん違います。
  2. いずれにしても、ずいぶん費用がかかる場合があります。(以前に比べて、だいぶん安くできる場合もあります)。
  3. 先天的なもの、顎骨を外科処置する必要のあるケースなどでは、保険適用の場合もあります。(全部保険が認められないと、はじめからあきらめないで相談してください)。
  4. 矯正に限らず、歯科治療で費用がかかった場合、医療費控除が受けられます。

4.おわりに

  1. 口元を気にするために社会生活が円滑に行かない。大きな声で笑えない。人との会話ができなく、引っ込み思案になる。など、「単なる歯並び」と軽く見ることができません。深刻な悩みを抱える人がいます。
  2. 一度、矯正専門医や、近くの歯科医院を訪ねて相談だけでもしてください。意外と問題解決に近づけるかもしれません。
  3. また、このような家族や、お友達を見かけたら、ぜひ教えてあげてください。
  4. 歯科医療は日進月歩。解決方法が見つかると思います。
  5. 口もとすっきりで、楽しい生活を送ってください。