第1回講座 歯を大切に

1.歯医者さんに行きたくない理由

皆さんは、歯医者さんにできれば、行きたくないと思っていませんか?

歯医者さんに行きたくない理由

殆どの人が行きたくないと思います。
では、何故行きたくないのでしょうか?
それは、たいていの場合、歯が‘痛くなったり’、‘しみたり’するようになってから歯医者さんに通うからです。
悪くなった状態で、歯医者さんに通うと‘痛い思い’や‘不愉快な思い’をするから行きたくないのです。

2.歯科医療と歯科治療の違い

歯科医療と歯科治療の違い

歯が痛くなってから歯医者さんに行くのは、歯科医療を歯科治療と考えているからです。
すなわち、歯医者さんには‘歯が痛くなったら行くところ’と考えているからです。‘痛い’あるいは‘不愉快な’治療をするところと考えているからです。
従って、歯科医療は、歯科治療とは明らかに異なるものです。

3.本来の歯科治療

本来の歯科医療

本来の歯科医療とは、1)予防、2)治療、3)治療後の観察、4)メインテナンスです。
現状は、‘治療する所’から始まっています。

4.理想的な歯科医療

理想的な歯科医療

本来の歯科医療から考えますと「歯が痛くならなければ」1)予防、2)口腔状態の観察、3)メインテナンスをすれば、十分と理解できます。嫌な思いをする治療は‘ゼロ’の医療となります。
‘痛い思い’や‘不愉快な思い’もなく、治療費も安く、とても気持ちのいい状態で、おいしく食事ができ、歯が長持ちし、一生自分の歯で食事をすることができます。

5.長期メインテナンスの症例

長期メインテナンス症例

20年前に歯を抜かなければならない状態の人が、適切な治療後、予防プログラムで、定期的にメインテナンスをした人は、その後、歯を抜かないで御自身の歯で今も食べている人がいます。

6.定期健診のすすめ

定期検診のすすめ

歯が悪くならないうちに、定期的にしっかりとしたケアーをすることで、とても快適な状態を続けることができる時代になりました。今までの歯科医療は‘痛くなったら’‘しみてきたら’‘歯がグラグラしてきたら’行く所と思われていました。今は、歯科の学問も、治療技術も治療器材も全て進歩しました。歯が悪くならないうちに歯科でチェックをし、快適な生活が送れるようしましょう。

7.嫌義歯権

嫌義歯権とは

聞きなれない言葉と思います。義歯つまり入れ歯で食事をしたい人は、少ないと思います。今ある自分の歯を絶対になくさないと言う心構え、これが「嫌義歯権」です。この権利を守るためには、自己責任が伴います。しっかりと手入れをして、プロフェッショナル(例えば、歯科医師や歯科衛生士)にチェックを受けることにより守られます。

8.自分の歯で食べる?

自分の歯で食べる?

歯を長持ちさせることは、これからの長寿社会を快適に生きていくためにとても大切なことです。人は多くの「欲」を持っています。金銭欲、権力欲、物欲、などなど。
そして、最後まで残る欲が「食欲」です。おいしいものを楽しく心おきなく食べられることが、長寿社会の生活の中でQOL(生活の質)を守る最も大切なことだと考えます。

希望を叶えるためにも歯の定期的なチェックが重要となります。

9.術前と術後こんなに違う口腔

術前と術後の口内比較

正しい治療と正しいメインテナンスを実施すれば、結果は大きく違います。
左は、術前の写真。右は、術後1年の写真です。
この患者さんは、はじめ、ホワイトニング(歯を白くすること)を希望して来院されました。

しかし、プラーク歯垢:歯くそ)がいっぱいで、歯肉炎症をおこし(腫れている)、たばこのニコチンで歯肉がどす黒く変色していました。禁煙を実施して、きちんとした歯みがきができるようにブラッシング指導し、自分でとれないところを歯科医師と歯科衛生士できれいにして、レーザーをつかってニコチンを取り去ったところです。始めて来院してから約1年後の写真が右の写真です。こんなにきれいな口になると、歯は長持ちします。

10.最後に

今後、この講座は、「歯磨き」、「う蝕虫歯)」、「歯周病歯槽膿漏)」、悩んでいる人が多い「口臭」、美しく楽しい生活のための「ホワイトニング」、まだ気が付いていない「歯や顎と全身との関係」について連載していきますので、ご期待ください。