第3回講座 歯磨きしましょう 2

歯磨きについて

歯磨きの方法は、いろいろあります。
歯は、一見‘つるん’としてそうで、実は、デコボコやくぼみが沢山ありますので、歯磨きは、結構、難しいものです。
歯磨きの基本は、貴方にあった一番良い方法を歯科衛生士さんに聞かれるのが良いと思います。我流では、磨き残しが多くなります。

歯石が沈着して歯槽膿漏で抜けた歯

この写真は、歯の根っこのところまで歯石が沈着して、歯槽膿漏で抜けた歯です。黒と茶色や白い付着物が歯石です。

2. 歯磨き方法

1)バス法

一般的に知られた歯磨き方法ですが、アメリカのBass先生(病理学者)が自分の歯が悪くなって、なかなか治らないので、色々歯ブラシの使い方を工夫して、90歳を過ぎるまで、自分の歯で食事をしていました。その方法が現在の歯磨き方法の中心になっています。

バス法による歯磨き

バス法は、歯と歯肉の境目(ポケット:袋状の細菌の豊富な部分)に45°の角度で歯ブラシの毛先を当てて(毛先が少しポケットの中に入る)小さく前後に動かします。

バス法による歯磨き

前歯部(前の歯)では、歯ブラシを縦に入れて、歯ブラシを上下に動かし、1本ずつの歯を丁寧に磨きます。

2) 歯磨き法 スクラッピング法

スクラッピング法による歯磨き

歯の外側は、毛先を歯に直角に当てます。内側は45°にして軽く前後に動かします。

3) フォーンズ法

フォーンズ法による歯磨き

主に子供の歯を磨くのに使います。小さく円を書くように、童謡などを歌いながら(リズミカルに)子供の歯を磨いてあげてください。

3. 歯磨き方法

主に歯ブラシの脇腹を使う方法で、歯垢の除去と歯茎のマッサージ効果を目的としたものです。

1)ローリング法

ローリング法による歯磨き

歯の根の先に毛先を向けて、噛む面に向かって歯ブラシの柄を回転させます。(歯ブラシの毛の脇腹を使う)前の歯の内側は、縦にしてかきだします。

2)チャーターズ法

チャーターズ法による歯磨き

歯の外側は、根の方から噛む面に向かって歯ブラシを置き、少し圧力をかけながら振動させます。
歯の内側は、歯ブラシの先の方(つま先という)を中に入れて、少し力を入れて、毛先の脇腹で振動させます。
歯周病の(歯槽膿漏)外科処置の後などによく使われます。

4. 歯磨き方法 つまようじ法

特殊な磨き方ですが、最近注目されている磨き方です。

つまようじ法による歯磨き

歯ブラシの毛の配列が2列で、根の先のほうから噛む面に向かって、約30°の角度で毛先を歯頸部(しけいぶ:歯と歯肉の境目)に当て、毛先を歯と歯の間にすべり込ませて、出し入れします。歯ブラシの毛先を‘つまようじ’に見立てて、歯と歯の間の食べカスをかき出すようにします。

5. 歯磨き方法 小歯ブラシ

小歯ブラシによる歯磨き

小さな歯ブラシで、親知らずなど普通の歯ブラシが届きにくかったり、入りずらい所に小さな毛先を入れます。他に矯正装置の周辺、義歯(入れ歯)のバネがかかる歯やブリッジ被せ物などの部分や、被せている歯の周辺なども磨く場合があります。

6. 歯磨き方法 歯間ブラシ

歯間ブラシによる歯磨き

歯間ブラシは、小さな針金に放射上に毛先を付けたものです。歯と歯の間に入れて、歯間部の歯と歯肉を磨きます。効果は抜群で使用後は非常に気持ち良くなります。各種大きさがいろいろあり、部分、部分での使う大きさが異なります。小さいと効果が少なく大きすぎると歯肉を傷つけます。必ず、歯科衛生士の下で使い、自分勝手な判断はしないことが大切です。

7. 歯磨き方法 デンタルフロス

デンタルフロスによる歯磨き

塗蝋絹糸(とろうけんし)といい。昔は、絹糸に蝋を塗ったものを用いました。現在は、合成繊維をそのままつかったり、テフロン加工したものがよく使われます。
糸だけのものと、柄がついて使いやすくなったものがあります。

8. 歯垢染色剤

歯垢染色剤

これは、歯垢の細菌を染めるものです。
自分で磨いていて、本当に磨けているかが分かりません。1週間に1回くらい、歯垢染色剤を使い歯垢を染めてみると、自分で磨けているところと磨けてないところが良く分かります。
子供の動機付けに、自分で染めて赤いところをどう磨くかを工夫させるのも1つの方法です。

9. 歯磨き剤

  1. 歯磨きの基本は、大量の水でよく洗い流すことです。歯磨き剤はお好みで使うもよし、使わないのもよし。 フッ素の入った歯磨き剤は、う蝕虫歯)予防や一部抗菌作用もあるとされています。歯質強化と言う意味で、フッ素を使われるのも良いことです。
  2. 市販されているものは安全が確認されていますが、中には成分が蓄積されるものもあります。長期間使用するものですから歯科医師によく相談してください。 また、研磨剤の入った歯磨剤を長期に乱暴な歯磨き方法で使用すると、歯が擦り減ったり、歯肉(歯茎)を傷めることがありますので、注意が必要です。

10.自己流と正しい歯磨き

磨き残しの多い歯

自己流で一生懸命磨いてもこんなに磨き残し(赤い部分)があります。自己流は、このように努力のわりに結果が伴いません。

歯科衛生士の指導の下で磨いた歯

歯科衛生士の指導の下で、歯磨きをした結果です。正しい、歯磨きは、同じ時間、同じ努力で大きな差ができます。

11.高齢者(介護者)の歯磨き

ご自身で、歯磨きがしにくくなった方は、介護者がしてあげてください。お口が汚く、食べるものが流動食である方が、気持ちの良い口で、自分で食事ができるようになると、QOL(生活の質)が変わる場合があります。
栄養だけでなく、食べる者の硬さや、食べるものの意欲をださせる努力が生きがいにつながります。

クルリーナ歯ブラシによる歯磨き

特殊な「クルリーナ歯ブラシ」というものです。これは、吸引しながらや誤嚥を防ぎながら歯磨きができます。
歯のほか、頬粘膜(ほっぺた)と歯茎の間、上あごなどクルクル回しながら、ネバネバの唾液や食べカスをくるめ取るようにしていきます。